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自治体はなぜRPAを導入するのか

 

令和元年10月9日、水曜日にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーションの略で事務処理の自動化技術)の導入について総務消防委員会で先進地行政視察のため茨城県つくば市を伺いました。

そこで、

つくば市のRPA導入について、どのように取り組んでいるのか

と関心をお持ちの方に向けた内容です。

それでは、以下につくば市のRPAについて説明していきます。

 

RPA導入について

つくば市視察の様子

1日目は茨城県つくば市のRPA導入についての視察です。

 

つくば市庁舎からの眺め

つくば市の庁舎からの景色は素晴らしいですね。本題に移ります。

 

RPAに着目した背景

つくば市は筑波大学や2万人近い研究者を有する多くの研究施設があるため、転入・転出が激しく、市民窓口の対応は3・4月に超繁忙期を迎えます。

また、行政には大量で定型的な作業が数多くあり、職員は日々、多くの労働時間を費やしています。そんな状況のなか、平成29年7月に業務に関する職員アンケートを実施しました。すると約4百人の職員から得た回答で約1/4が定型業務の改善が必要であるという意見があり、早急な対応が必要でした。

ある職員からは忙しくて、何を改善したらいいか、打ち合わせをする時間すら取れないという意見もあったそうです。

そこでRPAに着目しましたが、当時は銀行や保険会社などの民間で急速に普及していましたが、公共サービスでは普及が進んではいませんでした。

 

つくばイノベーションスイッチ

そこで行政での導入を加速させたい民間事業者と業務改善を推進したいつくば市の思惑が合致し、つくば公共サービス共創事業(つくばイノベーションスイッチ)を実施しました。

公共サービス共創事業とは民間事業者と共同研究を実施する事業であり、行政は技術試験の場を提供し、民間事業者と経費を分担したため予算措置を執る必要がなく短期間で事業を進めることができました。

 

RPA導入に向けた考え方

まず導入効果が高い行政業務を特定するために全職員アンケートを実施しました。そしてRPAを導入することを優先して、導入効果が高くなるように業務の棚卸と可視化を行い、業務手順を一から見直すという考え方で進めていきました。RPA導入に前向きな課、そうでない課があったそうです。

それぞれの課の導入に向けた意識はアンケート結果に表れていて、前向きな課のアンケートにはこの業務もRPAを導入すれば効果があるのではないかといろいろな意見が出てきたそうです。

 

さらに多くの課でRPA導入が加速するように

職員向けのRPA体験会

RPAワークショップ

を開催して周知を図りました。

現在ではWinActor(RPA作成ソフト)を使ってRPAを作ることができる職員は30人ほどおられるそうです。

 

RPAの導入効果

大幅な時間削減の効果があり、削減できた時間で公共サービスの向上を図ることができました。

事業所の新規登録業務
146時間11分 → 39時間43分 に短縮

納税通知書、更正決議書、宛名封筒の印刷業務
115時間50分 → 23時間20分 に短縮

この導入効果が他の課に口コミで広がり、全庁で業務を見直す契機となりました。

 

RPA導入後の課題

RPAを実行させる端末の確保

申請書など記入情報の電子化

各課のRPA情報の共有

各課におけるRPA人材を確保

職員1名につきPC1台の環境だとRPAの導入が進みません。

その環境がほとんどだと思いますから、RPAを実行させてから退勤して翌朝に事務処理が終わるようにすればいいではないかと考えるかもしれません。

しかし、自治体では夜間にデータのバックアップが行われるのでPRAを実行させて退勤することができないそうです。

そのためRPA導入の早期段階からPCの台数制約がない環境を整える必要があります

 

RPA導入を進めるこつ

RPA導入に意欲的な課と協力し、小さく始めて、導入効果を口コミで他の課に広めてもらうことだと言われていました。

どの課が意欲的なのかという雰囲気を感じ取ることが第一歩だと思いました。